内分泌内科|名古屋市昭和区のおかやま糖尿病・甲状腺クリニック、内分泌内科、糖尿病内科、一般内科

診療時間9:00~12:00/15:30~18:30 tel:052-842-1118
地下鉄桜山駅すぐ
毎月の混雑予測

内分泌内科

Contents
In English - For foreigners -
メディア掲載 - Publication -
求人情報 - Recruit -
ブログ - Blog -
トップページ»  内分泌内科

甲状腺腫瘍

甲状腺とは、首の甲状軟骨(のどぼとけ)の下にある、ホルモンを分泌する臓器です。甲状腺の腫瘍(しこり)は、自分で首を触って気づくこともありますが、胸部CT検査、頚動脈エコー検査などで偶然に見つかることも多い病気です。また甲状腺ホルモンの値が異常な場合に、甲状腺エコーを受けて見つかる場合もあります。
甲状腺腫瘍には、良性と悪性があります。
 
甲状腺の良性腫瘍は、腺腫(のう胞状腺腫、濾胞腺腫など)がほとんどですが、まれに甲状腺ホルモンを分泌する中毒性甲状腺腫(プランマー病)があります。
また、腺腫に似た腫瘍様に甲状腺の組織が増殖するしこりとして、腺腫様甲状腺腫があります。このしこりは大小不同で多発することが多いですが、一部にがんが含まれていることもあります。
 
甲状腺の悪性腫瘍には、がんと悪性リンパ腫があり、がんには5種類あります。
がんは甲状腺腫瘍のうち約2割を占めると言われています。
以下に5つの甲状腺がんと悪性リンパ腫について説明します。

1.乳頭がん
甲状腺がんの8割以上を占めますが、非常に進行が遅く、予後(長生きできる確率)のいいがんです。
このがんの診断には、後で述べます穿刺細胞診が有効です。
2.濾胞がん
甲状腺がんの約1割程度を占めます。やはり進行が遅く、乳頭がんの次に予後のいいがんです。
しかし、このがんの確定診断をすることは難しく、通常は経過観察して、腫瘍の大きさが3cm以上になると手術して判明することが多いのが現状です。
3.髄様がん
甲状腺がんの約1-2%を占める特殊ながんですが、カルシトニンやCEAといった血液検査である腫瘍マーカーが陽性になるがんです。従って、血液検査で判明できることが特徴です。また、3分の1は遺伝性に発症したり、副腎や副甲状腺にも内分泌の病気を合併しうることも特徴です。
4.未分化がん
甲状腺がんの約2%を占めますが、高齢者に多く、急速に増大し、予後が悪いのが特徴です。今までは、このがんに対する有効な治療方法はなかったのですが、最近抗腫瘍薬(レンバチニブメシル酸塩)が開発されました。
5.低分化がん
乳頭がんや濾胞がんなどの予後のよいがんと予後の悪い未分化がんの中間に位置するがんです。
悪性リンパ腫
甲状腺の悪性腫瘍の約5%を占めます。橋本病の患者さんが罹患することが多く、未分化がんと同様に急速に大きくなる特徴があります。診断は、甲状腺の組織を一部切除する生検が必要ですが、薬や放射線療法が有効で、予後は良好です。

甲状腺腫瘍の検査

甲状腺腫瘍の検査には、CT、MRI、エコー、シンチグラフィー、生検、穿刺細胞診などがあります。この中で当院では、甲状腺エコーおよび穿刺細胞診が可能ですが、甲状腺穿刺細胞診について、もう少し詳しく説明させて頂きます。

甲状腺穿刺細胞診とは

甲状腺腫瘍が良性か悪性かの判断は、CT、MRI、エコーなどの検査だけでは判別が難しいです。そのために、エコーで腫瘍を観察しながら、細い針を腫瘍まで穿刺して細胞を採取し、顕微鏡で観察して良性か悪性かを判断する検査が有効です。これを甲状腺エコー下穿刺細胞診と呼びます。
穿刺細胞診で採取した細胞は、乾燥させたりアルコールなどで処理してから、専門機関にて染色し、顕微鏡で病理医に良性か悪性かの診断をしていただきます。そのため、結果がでるまでに通常1週間程度かかります。また甲状腺腫瘍の種類によっては、細胞診のみでは良性か悪性かの判断ができない場合があります。その場合には腫瘍の大きさ(通常3cm以上)や、エコーによる経過観察(3ヶ月~1年)にて腫瘍の大きさや性状の変化をみて判断します。また急速に増大する腫瘍の場合には、悪性のことが多いです。通常、悪性と判断した場合には、手術を受けて頂くことが原則ですが、最近では抗腫瘍薬も開発されています。
この検査で悪性と診断されたか、あるいは悪性の疑いがある場合には、手術の可能な病院をご紹介させていただきます。名古屋市立大学病院の場合には、耳鼻咽喉科にご紹介させていただきます。また、その他ご希望の病院があれば適宜ご紹介させていただきます。
 
この検査は、通常大きな病院でしか行われていないのが実情ですが、当院ではこの検査を行える施設です。来院されましたら、検査の内容を詳しく説明させていただき、内服薬のチェックをさせていただいてから、適応であれば同意書に署名していただき検査を行います。検査時間は通常30分程度です。検査の前には絶食は不要ですが、検査当日は激しい運動は避けていただき、穿刺部のみは湯をかけないようにシャワーを浴びることも可能です。検査後穿刺部に絆創膏を貼付しますが、翌日朝には剥がしていただいて結構です。
 
この検査は、細い針を使用して行いますので、原則局所麻酔は行いません。また血を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を飲んでいる患者さんは、1週間程度服用を中止する必要があります。服用が中止できない場合は、入院での検査が必要になりますので、入院施設のある病院で受けていただくことになります。
この検査の危険性として、穿刺部位からの出血、甲状腺の近くを走行する頚動脈の穿刺による出血、穿刺部位の感染、穿刺時の痛みによる血圧低下などがあります。しかし、出血した場合には、細い針ですので、圧迫すれば止血可能です。また、感染しないように、穿刺部の皮膚や、エコーを消毒して行います。さらに、血圧が低下した場合は、点滴をしたり、昇圧剤を使用して対応しますが、そのような合併症はほとんど起こらないのが実情です。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが異常に多く分泌される病態を甲状腺機能亢進症といいます。この病態のほとんどは、バセドウ病(グレーブス病)という病気が原因です。バセドウ病は、甲状腺を刺激してホルモンを分泌させるホルモン(脳の一部である下垂体から分泌されるホルモン:TSH)の受容体の抗体が体内に産生されて発症しますが、その原因はまだよくわかっていません。

バセドウ病は、若い女性に多い病気です。また、家族内で発症することも多い病気です。症状としては、胸がどきどきする、汗をよくかく、体重が減る、いらいらする、眠れないなどですが、男性の場合には、手足に力が入らないこともあります。また、高齢者では、息切れ、脈が乱れる、寝ると息が苦しいなどの症状がでることもあります。身体の変化としては、甲状腺が大きくなることによる首の甲状軟骨(のどぼとけ)の下の腫れ、目が大きくなる(飛び出る)、まぶたの腫れ、足の腫れなどがあります。

診断は血液検査でほぼ可能です。甲状腺ホルモンである遊離型T3、T4の上昇TSHの低下、および甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体抗体(TRAb)が陽性であれば確からしいバセドウ病と診断できます。当院では、院内で遊離型T3、T4とTSHの測定が即日に可能です。TRAbは外部の検査機関での測定となりますが、通常3~4日で結果がわかります。また甲状腺エコーにて、甲状腺全体の腫大や血流の亢進があれば診断の助けとなります。

治療は、多くの場合、最初は内服薬の服用となります。内服薬にはメルカゾール®とチウラジール®がありますが、両者とも一長一短があります。もっとも多い副作用は、皮膚のかゆみですが、かゆみ止めの薬でほとんど治ります。しかし、白血球の一種である、顆粒球が減少することがあり、その場合には高熱が出るため、内服を中止しなければなりません。

その場合には、ヨウ素の多量内服や、他の治療法の選択が必要となります。また、内服薬の治療が長期に必要な場合や、再燃を繰り返す場合にも他の治療法の適応となります。他の治療法には、放射性ヨード剤の内服手術があります。当院では、どちらもできませんので、治療可能な病院へご紹介させていただきます。(ただし、放射性ヨードの内服療法は、名古屋市立大学病院ではできません)どちらの治療法も、一長一短がありますが、いずれにしても、治療後甲状腺ホルモンの分泌が低下することがほとんどですので、甲状腺ホルモン製剤(チラーヂンS®)の内服が必要になります。しかし、チラーヂンS®は、内服量が適切であれば、副作用はほとんどありませんので、メルカゾール®やチウラジール®の内服が長期になる場合には、他の治療法への変更が望ましいと思われます。

蛇足ですが、甲状腺ホルモンが血中に多く存在しても、甲状腺がホルモンを過剰に産生していない場合があります。その病態を甲状腺中毒症と呼びます。例えば、慢性甲状腺炎(橋本病)や亜急性甲状腺炎の場合には、甲状腺の組織が破壊され、ホルモンが一過性に血中に放出される場合があります。また、甲状腺ホルモンが含まれるやせ薬を服用したり、間違って甲状腺の組織が混入したハンバーグを摂取した場合にも血中のホルモンが増え、バセドウ病と同じような症状を起こすことがあります。

慢性甲状腺炎(橋本病)

甲状腺が抗甲状腺抗体により攻撃され、慢性に炎症を起こす病気です。1912年に日本人の橋本 策(はかる)先生が世界で始めて発表したため、その名前がついています。抗体とは、普通は身体に異物が入った場合、主にリンパ球で産生され、異物を消滅させる役割を果たしています。しかし、この病気の場合は、甲状腺に存在するサイログロブリンというホルモンの原料となる物質や、甲状腺酸化酵素(甲状腺ペルオキシダーゼ:TPO)というヨードを酸化して甲状腺ホルモン産生に必要な物質に対する抗体が産生され、甲状腺を攻撃します。どうして抗体が産生されるのかはよくわかっていませんが、バセドウ病や、リウマチなどの膠原病と同様な機序で起こるとされています。

橋本病は、発症直後は、抗体により甲状腺の組織が破壊されますので、一過性に血中の甲状腺ホルモンが上昇します。これを甲状腺中毒症と呼びます。しかし、自然経過にて血中ホルモンは徐々に低下し、正常値になる場合もありますし、低下する場合もあります。血中の甲状腺ホルモン値が低下した場合は、甲状腺機能低下症を引き起こします。

甲状腺機能低下症の症状は様々ですが、やる気がでない、体重が増加する、足がむくむ(むくんだ足を押してもすぐにもとに戻るのが特徴です)、生理が来ない、毛が抜ける、肌がかさかさする、便秘、不妊症、流産しやすいなどです。また、身体的には首の甲状軟骨(のどぼとけ)の下にある甲状腺が腫れることが多いですが、痛みは伴いません。甲状腺が腫れていない場合もあります。

橋本病の診断は血液検査でほぼ可能です。抗サイログロブリン抗体か抗TPO抗体が陽性であればほぼ間違いありません。これらの抗甲状腺抗体は、当院では院内では測定できませんので、外部の検査機関での測定となりますが、通常3~4日で結果がわかります。甲状腺ホルモンである遊離型T3、T4や甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、多いことも、正常なことも、少ないこともあります。補足の診断として、甲状腺エコーで、甲状腺が腫れていることや血流が少ないことなどがあります。甲状腺エコーは当院で検査可能です。

治療は、橋本病の病態によります。血中甲状腺ホルモン値が正常であれば通常経過観察(3~6ヶ月間隔)します。高値であっても自然に3ヶ月程度で低下してきます。低値の場合には甲状腺ホルモン製剤(チラーヂンS®)の内服の適応になる場合がありますが、おおよその基準があります。妊娠可能年齢以上の女性の場合や男性では、TSHが10μU/mL以上であれば治療をしますが、症状により正常化を目指すこともあります。また妊娠中や不妊症、習慣性流産の方の場合は、TSHが2.5μU/mL以下になるように治療します。このように、微妙な治療が必要な患者さんは、内分泌専門医の治療を受けることをお勧めします。

亜急性甲状腺炎

首の甲状軟骨(のどぼとけ)の下にある甲状腺が、ウイルスにより炎症を起こす病気です。発病する前にかぜの症状やのどの痛みなどの上気道炎を起こしていることが多いです。また、夏に発病しやすいとも言われています。いわゆる甲状腺がかぜをひいた状態と言ってもいいでしょう。

症状としては、首の下側(甲状腺のある部分)の痛みです。非常に強い痛みのこともあります。甲状腺は首の右と左に広がって存在しますが、その痛みが右側になったり、左側になったりと移動することが特徴です。発熱はほとんどみられませんが、痛みが強くて、食べ物がのどを通らないこともあります。息ができなくなるようなことはありません。また、血中の甲状腺ホルモンが最初は増えますので、バセドウ病と同じように、胸がどきどきする、汗をよくかく、体重が減る、いらいらするなどの症状もみられます。

診断は血液検査と甲状腺エコーで行います。血液検査では、甲状腺ホルモンである遊離型T3、T4の上昇と甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低下がみられますが、バセドウ病や橋本病のような抗甲状腺抗体である甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体抗体(TRAb)、抗サイログロブリン抗体、抗TPO抗体はみられません。しかし、この病気では、血沈、CRPなどの炎症反応が陽性になることが特徴です。ウイルスが原因の病気ですので、白血球はあまり増えません。甲状腺エコーでは、痛みのある部分が黒く不規則に映ります。これを低エコー領域と呼びます。これらの検査の異常は、病気が治ると正常に戻ります。

治療は、病状が軽い場合には、鎮痛剤で治ることもありますが、特効薬はステロイドホルモンの内服です。最初は多い量(プレドニゾロンで20mg程度)を内服しますが、血液検査にて甲状腺ホルモンの量や炎症反応の状態をみて、徐々に内服量を減らしていきます。 だいたい2か月間ほど内服すれば完全に治ります。甲状腺エコーでも、低エコー領域は消失します。また再発はほとんどありません。甲状腺の病気は、完全に治る病気はあまりありませんが、この病気は数少ない治る病気です。

【甲状腺ホルモンについてのワンポイントレッスン】
甲状腺ホルモンには、T3とT4があります。通常甲状腺からは、T4として分泌され、一部は血中でT3に変換されます。ホルモンとしての作用は、T3の方が強いのです。しかし、血中の甲状腺ホルモンは、そのほとんどが血中の蛋白と結合して、効果を発揮できません。少量残ったホルモンが効果を発揮します。それが、遊離型のT3、T4というものです。通常、血液検査では、この値をみて血中の甲状腺ホルモンの量を判断します。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、脳の下垂体という部分から分泌されるホルモンです。血液中の甲状腺ホルモンが少ないと、下垂体からのTSHの分泌は増加し、甲状腺にホルモンを作るように指令します。また、甲状腺ホルモンが多いと、逆にTSHの分泌が減少して、ホルモンを作らせないように命令します。したがって、下垂体に病気がなければ、このTSHの値をみれば、甲状腺ホルモンが血中に多いのか、少ないのかがわかるのです。

当院では、この遊離型T3、T4やTSHをいずれも即日に約20分で測定できます。

Page Top